女性の骨盤ケア①
誠にお恥ずかしい限りの話です。
私が第2子を出産する前のことです。産休に入り34週過ぎの年末でした。
洋服ダンスの上の衣装ケースを下に降ろそうとして踏み台の上にあがり、ゆっくりと降ろしたつもりが、
子宮がドーンと下がってしまいました。
子宮が骨盤底筋の位置まで下がり、胎児の頭がすぐふれるぐらいまで下がってしまいました。
助産師でありながら、えらいことや早産になるかもしれない、
すぐ病院に知らせましたが、ありがたいことに陣痛はこず、第2子は予定日までしっかり胎内に居座っていました。
出産の時も悲しいかな、陣痛を起こすために病院の階段を1階から9階まで何回も往復した記憶があります。
寒い1月末で、外は雪が降っていました。経産婦ですので分娩はそれなりに人の手を煩わせることなく、
無事出産を終えることができました。
その時、嬉しかったこともあります。
医師から、超音波検査で2人目も女の子ですよと言われてましたが、
私自身は男の子と思っていたので、出産の時にどちらが生まれるかを同僚と予想しました。
同僚に取り上げてもらったのですが、第一声は『ついているよ』との報告で、私の予想が当たりました。
胎内で大切なものをお股に隠していたのでしょうか。
主人もまた女の子かと小声で言っていたので、出産報告を聞いて喜んでいました。
話を戻しまして、私に課せられた問題は、子宮を元の位置に戻さなくてはなりません。
しかし、子宮は平滑筋のため、自分の意思では戻すことができません。
子宮が子宮筋層と呼ばれる平滑筋(へいかつきん)でできているからです。
横(おう)紋筋(もんきん)(骨格筋や皮筋:表情筋)とは違いサルコメア(筋節)のない筋肉からなり、
緊張の保持と収縮を司る筋肉です。意思とは無関係に働く不随筋でできています。
細胞が一つ一つ巨大化し、急激な子宮の拡張に備えることができます。
短大卒業後、大学の先生と産褥体操(図参照)の研究で、自分が被検者となって筋電図をとり、
この体操をすると、どの筋肉が収縮するのかを体育系の教授との共同研究を行っていたので、ばっちり実践しました。
2人目で後陣痛もあり、母乳もでている為、子宮の回復(復古状態)は良好でした。
夜中3時のみの授乳はお休みして、その後はしっかり母乳をあげていました。
その効果もあり、睡眠中も後陣痛が身体を波動するように襲ってきます。
後陣痛は、陣痛とは違い周期が長い子宮収縮で1時間に数回きます。
日中は、産褥体操で靭帯や筋肉の復古を促進させるように真面目に取り組みました。
そうすると、奇跡のように退院時には、子宮はもとの位置に戻りました。
その後、3人目の妊娠中・産後も問題なく現在まで経過しています。
2つの奇跡とは、子宮がもとの位置に戻ったことと、女児といわれていたのが男児であったことでした。
次回のコラムでは、女性が妊娠・分娩含め、一生を通して自らの骨盤ケアを行うことの大切さをお伝えできればと思います。