女性の骨盤ケア②
前回の体験談に続き、女性の骨盤ケアについてお話できればと思います。
1.妊娠・分娩を通しての子宮の変化について
2.骨盤ケアをするにはどうすればいいのか
1. 妊娠・分娩を通して子宮の変化について
子宮は骨盤の中にある臓器です。
その子宮は「妊娠を助けるホルモン」黄体ホルモンとかプロゲステロンと呼ばれ、
排卵直後から卵巣で作られる女性ホルモンの一つで、
受精卵が着床しやすいように子宮内膜の環境を整え、体温を上げる作用があります。
妊娠した子宮は、胎盤ができると胎盤からのホルモンでコントロールされます。
妊娠後期、子宮の大きさは33cmまで大きくなります。
胎児で約2.5~3㎏。さらに、羊水や胎盤等のため最低6㎏は増えます。
それが出産後、子宮は約1㎏となり、6週間目にはニワトリ卵大約70gに戻ります。
ここで注目するのは、妊娠中10か月かけて大きくなった子宮が出産後すぐに1㎏(6分の1)となり、
⇒産後1週で500g(12分の1)
⇒2,3週で300g(18分の1)
⇒4週で100g(30分の1)
⇒6週で70g(84分の1)となります。
どうして子宮はこのような変化が可能なのでしょうか?
それは、前回でも説明しましたが、
子宮が子宮筋層と呼ばれる平滑筋(へいかつきん)で出来ているからです。
横(おう)紋筋(もんきん)とは違いサルコメア(筋節)のない筋肉からなり、
緊張の保持と収縮を司る筋肉です。
意思とは無関係に働く不随筋(ふずいきん)でできています。
細胞が一つ一つ巨大化し、急激な子宮の拡張に備えることができます。
しかし、10か月かけて大きくなったものが、6週間で元の大きさに戻るとはびっくりです。
巨大化した細胞が元の大きさに戻ろうとする時には、授乳をすることが大きく作用しています。
以前のコラムでもご紹介した『幸せホルモン』オキシトシンの働きです。
そうなると、子宮を支えていた多くの筋肉及び骨盤も緩んでいた為、引き締める必要があります。
産後すごいスピードで収縮する子宮に併せて、子宮を支えていたぺリネ(骨盤底筋群図)の方も追いつくには、
外からの腹帯や産褥体操で補助してあげる必要があります。
子宮を妊娠前の位置にきちんと戻してあげることが大切になります。
骨盤を通常の位置に戻すことにより、女性ホルモンの働きが活発になり
ますます魅力的な身体になります。
2. 骨盤をどのようにケアすればいいのか?
腹帯を活用した骨盤ケア
近年では、腹帯はほとんど効果がないといわれているにもかかわらず、
多くの妊婦に愛用されておりますね。
日本書紀、古事記にも記録されており、現在のような使い方は江戸時代にさかのぼります。
この腹帯は、日本独自の慣習として今も延々と続いています。
着物姿から洋服になっても日本人は妊娠すると腹帯を巻いています。
私がお産を経験した時代はもう40年前になりますが、
親が晒し(さらし)の腹帯を用意してくれ、胎動が感じられる妊娠5ヶ月の戌の日に巻き始め、
安産を祈願したものです。
腹帯の効用は、保温、姿勢を正しく保つ、お腹を支える、腰痛などを軽減すると言われています。
腹帯の種類には、晒しタイプ・ガードルタイプ・腹巻タイプと様々あります。
ベルトで下から支持するようになったガードルタイプもあります。
大きくなってくるお腹を下腹部から晒しで締めながら巻くことで、
お腹を保護し、温め、正しい位置に安定させていたように思います。
仕事をしている時は、ズレにくいガードルタイプが便利でした。
産後は緩んだ骨盤を元に戻るようにケアします。
晒しの腹帯は妊娠中とは逆に骨盤の上部(腸骨稜)から下に向け、恥骨部上部まで巻きます。
動きによって緩んできますので、巻き直しをする必要があります。
また、晒しは洗濯をすると長い為、乾すのが大変でしたが、
安価で、妊娠中~産後とも使用できる便利品でした。
私も2人の娘を出産する時には、必ず面倒を見ると約束したので、
海外であっても飛んでいきました。
もちろん、妊娠中に必要なガードルタイプの腹帯等も準備しました。
デパートで相談すると、家用、お出かけ用とあると便利ですよと言われ、
進められるまま購入したことを覚えています。
更に今は、出産後に便利な骨盤ベルト『弊社製品名:マザーベルト』が発売されていますね。
出産後は育児もあり、継続した産褥体操を行うことが難しいことが多い為、
骨盤ベルトのご使用をオススメします。
これは、骨盤を形成する骨をつなげる靭帯がホルモンの影響で緩んでいたため、
その緩んだ骨盤をしっかりと支えるのがこのマザーベルトです。
妊娠、産後と目まぐるしく変化する女性の骨盤をケアすることが、
その後の女性のライフスタイルを魅力的にすることに繋がります。
次回のコラムでは『妊娠に伴って生ずる産褥期のマイナートラブルである尿失禁や腰痛』についてお伝えできればと思います。